こんにちは。やんやんです。
今回は、私の生きづらさを作っている原因の一つ、「強迫性障害」について紹介していきます。実体験ベースに症状や治療法、日常生活への影響を書いていきますね。
- 強迫性障害という病気は聞いたことがあるけれど詳しくは知らない。
- 自分も強迫性障害かもしれないので、当事者の経験談を参考にしたい。
- 強迫性障害を持っている人の思考が知りたい。
このような疑問・悩みをお持ちの方には、特に参考になるかと思います。
一般的な「強迫性障害の知識」と、「実体験ベースの強迫性障害」の2部構成となっていますので、後半は私やんやんの半生(?)をギュギュっとまとめたような形になっています。
少しでも私の経験が伝われば幸いです。
強迫性障害とは?

強迫性障害について、まずは学術的なところから攻めてみましょう。
かたっ苦しいのはいいから早く実体験を教えろぉぉぉ
と、いう方は次の章まで飛んじゃってください。
強迫性障害は精神疾患のうちのひとつ
強迫性障害とは、WHO(世界保健機関)によって「経済損失および生活の質の低下に影響する10大疾患」の1つに指定されている精神疾患です。
分かりやすく概要が説明されているサイトがあったので一部抜粋して紹介します。
ある考え(家族の誰かが死ぬのではないか、自分の手が汚れているのではないかなど)が自分の意思に反して何度も頭に浮かび、払いのけることができなくなる強迫観念と、ある行為(手を何度も洗う、ガス栓や鍵を何度も確認するなど)をしないと気がすまなくなる強迫行為があらわれ、自分でもつまらないことだとわかっていても、そのことが頭から離れない、わかっていながら何度も同じ確認をくりかえしてしまうことで、日常生活に支障をきたす病気です。
https://www.tawara-clinic.com/disease/obsessive-compulsive-disorder/
意味のないことだと分かっていても、不安や恐怖から過度な思考や行為をやめられない病気が、強迫性障害なんです。
主な症状
強迫性障害の症状はいくつかありますが、特に代表的なものに
- 不潔恐怖
- 確認行動
- 加害恐怖
- 儀式行為
- 数字やモノの配置への強いこだわり
これらのものが挙げられます。
「不潔恐怖」はウイルスや細菌、あらゆる汚れを過剰に恐れること、何度も手洗いや入浴、洗濯などの洗浄行為を繰り返すことを言います。
不潔な状態を好む人はあまりいないと思うので、ウイルスや汚れに対して不安を感じることはおそらく珍しくはないでしょう。(ましてや今はコロナで大変なので・・・)
しかし強迫性障害の人の場合は、ウイルスや細菌、汚れが自分の手足、外に持ち込んだバッグ、洋服などいろいろな場所を介して部屋全体や家具に付着してしまうような気がして恐ろしくなってしまうのです。
「確認行為」は戸締りやガスの元栓、家電や電気のスイッチがきちんとしまっているか、消したのか不安になって過剰に確認してしまうこと。
「加害恐怖」は自分が誰かに危害を与えてしまったのではないかという不安に取りつかれ、ニュースや新聞で事件・事故として取り上げられていないか確認してしまう行為。周りの人や警察に話を聞いてしまう方もいます。
「儀式行為」は自分の決めた方法や手順で物事を進めないと、なにか恐ろしいことが起こるという不安から、常に同じ方法や手順で仕事や家事を行わないと気が済まないこと。
「数字や物の配置への強いこだわり」は不吉な数字や幸運な数字に、こだわりすぎてしまうことや、決まった場所に物がないと不安になってしまうこと、を言います。
あくまでも代表的な例なので、細かく言えばもっとたくさんありますし、説明の表現の仕方も多少は変わってくるかもしれません。
とりあえず有名どころをサラッと挙げてみました。
発症する原因
周りの環境や遺伝、脳の機能的な異常の可能性など、様々な原因が考えられます。自分の感情や行動を否定された経験や、ストレスが関係しているともいわれています。
完璧主義な人はその性格も影響している可能性があります。
一般的な治療法
主に薬物療法と認知行動療法の2つが用いられています。
薬物療法では、SSRIという脳内のセロトニンという物質に作用する薬を服用します。医師の指示に従い正しく服用すれば、強迫行為が薄れる効果があります。
認知行動療法は有名な精神療法で、物事の考え方を見直し、気持ちを楽にするための練習をしていきます。
強迫性障害の治療では、あえて強迫行為を引き起こす不安な状況に立ち、慣れる訓練をする「曝露反応妨害法」などがあります。
実体験|強迫性障害発症から現在まで

ここからは、よく見る“病気の説明”ではなく、私の実体験をもとに時系列順に強迫性障害のリアルな症状などを紹介していきます。
すべての強迫性障害の人に当てはまる症状ではないので、こんな感じの症状が出ることもあるんだな、くらいに思っていただければよいかなと思います。
ちょっと変わった行動が始まったのは小学生の時
強迫性障害である私が、
あれ、自分って他の子と違う・・?
と思い始めたのは小学校高学年の時でした。
なんだか心がもやもやする時があって、落ち着かなくなることが頻繁にあったんですよね。
そんなモヤモヤだけで済むならまだよかったのですが、私の場合、次のような行動をしてしまうんです。
- 目をぎゅっとつぶるような強い瞬き
- 鼻を強くすする(鼻水が出ていない時でも)
- 首をぐるんぐるん回す
- 自分のお腹を強く叩く
- 口を大きく開けて閉じるときにわざとしゃくれて上下の歯をガリっとする
- 恥ずかしめの単語を他人には聞き取れないように崩して発声する
書き出してみると当時の自分めっちゃハズイ・・
黒歴史・・
まあね・・
でもこれ、たぶんチック症っていうれっきとした神経疾患だから自分を責める必要もないよ
そうなんです。心がモヤモヤする時こういう行動をしてしまっていたのですが、今考えるとチック症でしたね。
チック症ってなんぞやって方はググればすぐ見つかりますので探してみてください。(今後チック症についての記事も書く予定です。)
我慢したいけどできない苦しみを感じ始める
これらの行動を我慢できればいいんですけど、チック症って脳と心の問題で起きていることが多いので簡単にはやめられないのはもちろん、人に注意されると余計に止まらなくなってしまうという厄介なものでして・・
やめたいけどやめられない→注意される→「わかってるよ!!」となる→心が不安定になりさらに同じ行為を繰り返してしまう
というループの繰り返しで本当に辛かったのを覚えています。
また、すでにこの時点で強迫性障害っぽい症状が出ていました。
先ほど紹介した私の行動リストなんですが、自分の納得のいく出来じゃないと満足いかず連続で何度もやってしまうんですよね・・
例えば、「自分のお腹を強く叩く」
いい音が出るまでお腹をパンパン叩き続けたり・・
「口を大きく開けて閉じるときにわざとしゃくれて上下の歯をガリっとする」
歯をガリっとするときに左右対称のきれいな位置でできなければ繰り返し行ったり・・
こんな感じで意味のない行動を意味のない達成基準をもって、意味のない回数繰り返していました。
これが小学校高学年~中学生くらいまで続きました。
生活に支障が出るようになったのは高校生の時
さっきので十分生活に支障出てそうだったけど・・
実際、この時点で確実に「生きづらさ」はありました。しかし、大きな問題なく日常生活を送ることはできていました。
初めて日常生活に影響が出始めたと感じたのは高校2年生の時。
私は基本、両親に見送られながら毎朝家を出ていたのですが、たまに家を出る時間に私しかおらず、自分で玄関の施錠をする日がありました。
強迫性障害界隈ではメジャーすぎるくらいの症状の一つなのですが、カギをきちんと締めたか不安で何度も確認してしまうんですよね。
ガチャガチャガチャ、と何回やれば気が済むのか。ええ、止まりません。
しかし、学校に遅刻してしまうので
あぁ・・まだちゃんと締めたか不安なのに・・
心残りがありつつも泣く泣くドアノブから手を放し歩き出します。
ここで強迫性障害ならではのポイントがあります。
- 本当はカギがきちんとしまっていることを理解している
- 分かってはいるけどなぜか不安、確認行為を止められない
- ついでにこの行動がバカバカしいということも理解している
冒頭の強迫性障害の説明に書いたように、
ある考え(この場合、カギをちゃんと締めたかどうか)が頭から離れず、何らかの行為(施錠の確認)をしないと気が済まない
くだらないことだと分かってはいるけどその考え、行為がやめられない
そんな状態が続き、日常生活に支障をきたしてしまうんですよね。
私の場合、何度か電車に乗り遅れたことがあります。
幸い電車に乗り遅れただけで事は済み、この鍵のせいで授業に遅れたことはありませんでした。しかし、ドアノブから手を離した瞬間から、
あぁ…不安だなぁ…鍵ちゃんと締まってるのかなあ…
いや、あの時確実に締めた!そして確認したけど開かなかった!
いや、でももし私の勘違いで本当は開いてたら・・?
う~ん、でも締めたよな・・
頭の中はずっとこんな感じです。
うんざりしますよね?こんなの・・
でもそれは本人が一番よくわかっているんですよね・・
しかしこの思考は止められず・・当然授業も全然集中できず・・友達と話すときもぐるぐるぐるぐる・・
お昼くらいまでくると少し落ち着いて、頭から鍵のことは離れていきます。
だけどまあ、心配なことって常に発生するわけで・・
ある不安に脳を支配されてはちょっと落ち着き、また新たな不安に脳を支配される・・
その不安感のせいで集中力が無くなり、小さなミスを繰り返したり、人の話が全然耳に入っていなかったり。
こんなことの繰り返しだったので、
もっと平和に毎日を送りたい・・
と、切に願っていました。
強迫性障害という病気を知る
生活に支障が出るほどの思考・行動が止まらなかったにもかかわらず、高校生までは、
私は人より心配性なだけだ・・
と、思っておりまさか病気だなんて思ってもみませんでした。
しかし大学生のころ、ある授業でメンタルや精神疾患に関する話をした先生がいました。(大学の学科や専攻などについては伏せさせていただきます)
一通りうつ病や不安障害などのわりとメジャーとされる精神疾患を挙げ、その説明をされた後、ある映画のワンシーンを見せてくれました。
それが、「恋愛小説家」という映画。
日本では1998年に公開された映画で、ジャック・ニコルソンとヘレン・ハントが共にアカデミー主演男優賞と主演女優賞を受賞したことでも有名かも。
ご存じの方も多いかもしれません。
偏屈なロマンス小説家のメルヴィンと、彼の行きつけのレストランで働くウェイトレスとの恋愛を描いた作品なのですが、この小説家のメルヴィン・・一言でいうと、
めっちゃ潔癖症でめっちゃわがままでめっちゃこだわりが強い。
一言ではないが、超めんどくさそうなやつだということは分かる。
一部ですが作中の彼の行動を挙げてみます。
- 石鹸は一度使ったらゴミ箱に
- 鍵をきちんとかけたか何度も確認する
- 電気を消したか何度も確認する
- レストランでは勝手に自分の席を決めており、その場所以外は座らない
- 持参したナイフとフォークを使う
- 潔癖症なので人混みが嫌い
他にもいろいろ彼特有の行動があるのですが、ざっと挙げてみるとこんな感じ。
そして、大学の先生が授業で私たちに見せたシーンが、一つ目の「石鹸は一度使ったらゴミ箱に」の部分でした。

最初に見たときは、メルヴィンがあまりにも必死に手洗いをしているので、「毎日こんな感じなのか・・大変そうだな・・」と完全に他人事でした。
しかし、このワンシーンを流した後の先生の言葉でハッとしました。
彼(メルヴィン)もこれらの行為が無意味だということは分かっているんです。それなりの信念があっての行為なら苦痛なんてないかもしれないけど、「意味がないと分かっているのにそれでもやめられない」。辛いです。これは強迫性障害という病気です。
(数年前なのでさすがに一語一句完璧に覚えてはいないけど・・)
意味がないと分かっているのにやめられない・・・意味がないと分かっているのにやめられない・・・
意味がないと分かっているのに、それでも、やめられない・・・
いや、私じゃん!!!!!!
この時、私が小学校高学年あたりから徐々に出てきた変わった行動や、カギをかけたか過剰に心配してしまっていた時のことをいろいろと思い出しました。
とっさに授業中にも関わらず、スマホを取り出し「強迫性障害」をググり始め・・・
うん、はいはい・・
なるほどね・・・・・
はい、完全に私ですね。
と、症状が出始めてから十年弱。大学の授業がきっかけで、やっと自分が強迫性障害だということを知るのでした。
就活と将来の不安でうつ症状が出始め、受診へ
自分が強迫性障害という精神疾患を持っていると知ったことで、「気づき」の感情はありました。が、それ以外に何かが変わったかというと・・
「特に何も」ありませんでした。
ねえのかよ
確かにちょっと(ちょっと?)生きづらさはあるけど、ストレス溜まってなければ確認行動とか強迫観念は和らぐし、24時間365日辛いわけじゃないし・・みたいな感じで、なんだか病気だということを「認められていない」自分がいました。
その結果、強迫性障害を詳しく知ろうとも思わなければ、受診しようとも思わない状態に。
そんなこんなで、私はいつのまにか大学4年生に。
ゆるゆると大学1~3年生を過ごしてきた私ですが、大学4年生になり
就活!!!!!!
卒論!!!!!!
な日々に耐えかねて心身ともにガタっと崩れ、
- 朝起きられない
- 人に会うのが怖い
- 倦怠感が抜けない
- 身だしなみとかどうでもよくなる
- 不安な考えがぐるぐると回って消えない
- 不潔恐怖と確認行動が悪化する
という状態に。
最初はちょっと疲れてるだけだ、と言い聞かせいつも通り日常生活を送れるように頑張りましたが、学校やバイトに行けない日々が続き、
さすがにこれはやばい
と思い、病院に行くことを決めました。
(受診については別記事でまとめていく予定です。)
安定と不安定を繰り返す現在
大学4年生の秋ごろ、ネットでいろいろと調べて自宅から通える精神科の病院にかかりました。
先生や心理療法士さんに話を聞いてもらい、薬物療法を経て、時間はかかりましたが新社会人として就職するころには、一時的に回復。(山あり谷ありでしたが)
そして、安定した日々を取り戻したかに思えたその矢先、
調子こいて通院をサボる。
やっちまったね
自己判断で薬も中断したので、しばらくたつと再び心身に不調が・・
入社半年ほどして会社を1か月休む。
やってくれるじゃん
復職後、心機一転しようと転職をしました。しかし、
転職後、半年で辞める。
期待を裏切らねえな
と、まあこんな感じで、通院をやめたのが原因か、私がクズ過ぎるのかが原因かはわかりませんが、現在20代前半にして3社目の会社で働いています。
いや、スパンの早さよ・・・
2度の転職などを経て、運良く今はストレス要因も少なくなり、ピークの時ほど強い症状はありません。たまに確認行動や強迫観念が出てきますが、生活に支障が出ない程度です。
しかし、症状はゼロではないし生活に支障は出ないレベルとはいっても、しんどい時はしんどいのでまた近いうちに受診しようかなと思っています。
こんな感じでまだまだ不安定な日々です。現在進行形での強迫性障害の治療についても発信できたらと思っています。
発症、自覚、通院を経て思うこと

正直うまく向き合えているとは言えない・・
前章を読んでいただければわかるかと思いますが、病識はあってもうまく病気と付き合えているとは言えません。
私は、強迫性障害とよく併発するといわれている「うつ」も持っているのですが、ネガティブな気持ちが止まらずどうしようもない夜なんてざらにあります。
with強迫性障害の「生き方」
しかし、それでも、こんな私でも
- 楽しい人生にしたい
- 悔いのない人生にしたい
- 病気とうまく付き合って自分らしく生きたい
一丁前にこういうポジティブな思考は持っているんですよね。
強迫性障害でも、うつだとしても、自分にとって良い「生き方」ができればいいなと思っています。
そしてその「生き方」について、様々な視点から情報発信や共有、また自分自身の学びを深めたくて、このブログを立ち上げるに至ったのです。
最後に

この記事では、強迫性障害のあれこれを体験談も含めて書かせていただきましたが、少しは「なるほど~」と思っていただけたでしょうか?
当事者でありながら、まだまだ奥が深い病気だなと感じています。
新しい発見が今後もたくさん出てくると思うので、その都度情報発信ができたらな、と思っています。
ここまで読んでくださりありがとうございました。